南山大学ボランティアサークル・アヴァンギャルドでは05年1月〜6月までの炊き出し休止中、月1〜2回、鶴舞公園で野宿生活を強いられている人々への訪問を行った。
以下は、4月からアヴァンギャルドに加わった新入生の感想文です。


                         『鶴舞公園で感じたこと』

                                                    南山大学1年 酒井 幸千恵

 私が「AVANTGARDE」に入って3ケ月が過ぎました。3ケ月もの間、私はホームレスにご飯を配っていました。私は、「AVANTGARDE」に入るまでホームレスと言われている方を見たことがありませんでした。ホームレスとの関わりを通して、私は自分自身の世界が広くなったのではないかと実感しています。また多くの刺激も受けました。

 私が「AVANTGARDE」に入った理由は「ホームレスのために何かできたらいいな」と、漠然としていました。しかし今では「ホームレスのために何が出来るのかな。少しでも役に立てるのかな」と問題の大きさに圧倒されています。
 
 初めてホームレスを見た時、「こんなところで日常生活をしているのか」と、まず驚きました。そして私は、憲法の条文が頭に浮かびました。「ホームレスには憲法で定められている権利がない」と、心が痛みました。憲法は日常生活に何の効力も持たないということは、頭の中では分かっていたつもりです。しかし実際に生活を見ると、憲法で定めてある権利がないという問題の大きさに圧倒されます。「普通にあるはずのものがないという問題の大きさは、実際に見ないと深刻さが伝わらない」と痛感しました。
 
 またホームレスとの出会いを通して、私は自分自身を見直すことも出来ました。「自分のやりたいことが出来る」ということは、すごく幸せだと実感しています。日常生活の中で、私自身苦しんだことが何度もあります。しかしホームレスの過酷な日々を考えると、私白身の苦しみは、たいしたものではないのかなと感じることもありました。またやりたいことがあっても出来ない方を見ると、「少しでもいいから役に立ちたい」と強く思います。私が出来ることは全て行い、少しでも楽しみを味わっていただこうと努めます。なぜなら人生一度しかありません。だから少しでも自分自身のやりたいことをし、「生まれてきてよかった」、あるいは「いろいろあったけれども、いい人生やった」と、実感するホームレスが1人でも多くいれば、非常にボランティアの意義があると私は思います。
 
 はたして現在、このように思っているホームレスがいるのでしょうか。私はホームレスに、今という時を大切にし、充実した日々を送っていただきたいです。私はホームレスに少しでも楽しい時間を提供できたらいいなと感じます。
 炊き出しが始まるのに際し、多くの不安もあります。しかし、私はとりあえず来るのが楽しい炊き出しにしたいです。そして、少しずつ「具体的に何かでき、何の役に立てるか」という答えを私なりに見つけたいです。



                        『鶴舞公園昼回りの感想』

                                                     南山大学1年生 済木麻里子

 私が初めて鶴舞公園に行き昼回りをしたとき、まず初めに感じたことは、「ホームレスってとっても多い」ということでした。鶴舞公園の林の中に、ホームレスの人たちの住む青いビニールシートの家が密集しているのを見て驚きました。「どうしてこんなにいるんだろう」と不思議に思いました。私はアヴァンギヤルドに入る前、「ホームレスというのはみんなリストラされた40代前後のおじさんだ」、という変な固定観念を持っていました。しかし、その考えは鶴舞公園の昼周りをしているうちに間違いだということがすぐ分かりました。
 
 何回か昼周りをしているうちに、女性のホームレスに会うことがありました。ホームレスの人に話を聞くと、ホームレスの人は九州や東北の人が多く、若いころ目雇い労働をしていて働けなくなってホームレスになった人が多いということも分かりました。それで私の考えがほとんど違っていたという事がよく分かりました。ホームレスの人は中には、住んでいるところから出てきてくれない方もいましたが、気さくで陽気な人もいました。話してみると、怖そうというイメージはなくなり、普通のおじさんおばさんという感じがしました。そして、ホームレスの人たちともっと交流したいと思うようになりました。
 
 これからは昼回りではなく、炊き出しになるので、もっとホームレスの人たちとの交流が増えると思うと楽しみです。