ホームレスに緊急人道的支援を

朝日新聞投稿、没になった原稿


1月19日付けの天声人語に「これからの天気予報は晴雨より気温の高低が主役になる」との言葉を紹介し、肯定していました。なるほどと思いますが、同時に、晴雨の天気予報に一喜一憂しなければならない人のいることを忘れてはならないと思います。
私たちはホームレスへの炊き出しを屋外の時には寒風吹く雨の中でしなければなりませんが、そこに集まる彼らの生死は、気温はもとより晴雨に左右されていると思います。中には、小屋を持たず、ビルの陰、地下街への階段、通路、公園のベンチで段ボール一枚を敷き、毛布一枚被って寝るしかない人々がいます。当然、日中には、そこに留まれず、居場所を探さなければなりません。晴れの時は、寒くても、まだ屋外で過ごせますが、雨の時には、図書館などの公共施設に行くしかありません。しかし、身なりの汚れている場合の多い彼らには、退去を強いられたり、冷たい視線を向けられては居心地が良いわけはありません。一層、一般市民との軋轢は深まります。また、先日の東村山の殺人事件もホームレスの居場所が無かったから起きたかもしれません。
居場所のない彼らの中で1月3日の大雪の夜、公衆便所にて55歳の男性、24日凍えた夜、路上で48歳男性が亡くなりました。まだまだ寒いこれから亡くなる人は増えるでしょう。
ホームレス問題の解消には「住宅の提供」が何より必要です。まず、雨風を避ける場所として、そして、就職や生活保護受給には住宅の有無が欠かせないからです。名古屋市は来年度シェルターの設置を決めていますが、根本的解決にはなりません。
名古屋市には上記のホームレス自立への長期的支援策と同時に当面の緊急人道支援、食事や宿泊施設の提供を行うことをお願いします。寒風の中、今日もホームレスは凍死餓死にさらされ続けているのですから。

福信館 竹谷 基


戻る